【騒音トラブル】意外と見落としがちなプラントの騒音と騒音対策について解説します

使えるスキル

おつかれさまです、ケビすけです

早速ですが、プラントの騒音について考えたことはございますか?

工場などモノづくりの現場では、騒音は公害のひとつに挙げられるくらい実は重要です

下図に典型7公害の種類別公害苦情受付件数の推移を示しました※1
※出典:総務省 令和3年度公害苦情調査結果報告書

縦軸は苦情件数を示しておりますが、騒音・振動は年々増加していることがわかります

騒音に関して、約40%が工事や建設作業、約20%が製造業(回転機器等)の構成です

今回の記事では、製造業、特に工場での騒音を対象に解説します

本記事でわかること

① そもそも騒音とは何なのか
➁ 騒音レベルの求め方
③ 騒音の規制値
④ 騒音対策の考え方

本記事でを通じて「音」に関する知識収集の助力になれば幸いです

本ブログでは他にプラント関連で使えそうなスキルを紹介しておりますので参考ください

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騒音の定義

結論から言うと、騒音は感覚量であるため、厳密には定義されていません

敢えて言うなら「望ましくない音」、「不快な音」と感じたら騒音です

うるさいと感じる人もいれば、同じ音に対して何も感じない人もいます

一般に騒音の指標として騒音レベルが用いられます

単位は「〇〇dB(デシベル)」であり、耳にしたことのある人もいるもではないでしょうか

騒音レベルは騒音計と呼ばれるもので測定されます

騒音レベルは周波数重み付け特性Aで測定した音圧レベルのことを言います
※他にもC特性やZ特性もありますが、騒音規制や作業環境測定ではA特性を使用

要は周波数(低い音と高い音)で音の大きさを補正してくれています

音は不思議で同じ音の大きさでも低い音は小さく、高い音は比較的大きく聞こえます

騒音計の中では、測定した音の大きさを周波数に応じて計算されているのです

参考までに周波数毎の補正値をしたの表にまとめました

騒音計にて測定される騒音レベルは機械本来の音と機械が稼働していないときの音の合成音です

機械が稼働していないときの騒音レベルを暗騒音と呼びます

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騒音レベルの求め方

ただし、騒音レベルは単純な足し算や引き算で求めることはできません

70dBと80dBの騒音レベルが合わさる場合、単純に70+75=145dBにはなりません

ここでは理由は割愛して説明しますが、騒音レベルは音の圧力の常用対数(Log10)で計算されます

騒音レベルの合成は、計算式中の音の圧力が足し算した結果なので、単純に求められません

対数内の計算となるため、関数電卓やエクセルがないと手計算では求めるのが面倒です

そのため、概略として下表の補正値を用いて計算されることが多いです

以下に本表を用いた計算の方法について、例を用いて説明します

70dBと75dBの騒音レベルが合わさる場合、レベル差は5ですので補正値は1です

大きい方の75dBに補正値1を加えて75+1=76dBとなります

ポイントは大きい方を基準として補正値を加えるということです

差の方も同じですので、是非活用してください

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騒音のガイドライン

騒音が人の感覚量だからと言って、基準がないことには苦情件数が増える一方です

工場での騒音の基準としては、2つの指標があります

騒音規制法に従う基準、労働安全衛生法による基準です

騒音について考える場合、この2つの指標が混同することがあるので解説します

騒音規制法

騒音は環境基準法に則り、地域、時間の区分で騒音レベルの基準があります

本ブログでは割愛しますが、環境基準を達成するために、工場の騒音は騒音規制法により規制、対策が進められています

騒音規制法の対象となる工場は、著しい騒音を発生する施設を有する工場(特定工場)が対象です

著しい騒音を発生する施設を特定施設と呼び、騒音規制法で下表として細かく定められています

化学プラントでは空気圧縮機や送風機が対象となることが多いですのでご参考に

特定工場での騒音レベルの基準値については時間と地域の区分、測定の方法までしっかり定められています

下表に特定工場における騒音レベルの基準値をまとめました
※出典:総務省HP 誌上セミナー「騒音・低周波音について」第3回 騒音規制法の規制基準

測定方法についても上記の出典先に記載がありますので、気になる方はご拝読ください

ここで、重要なのは騒音レベルは特定工場における敷地境界線にて測定することです

このように騒音機泳法は工場街の地域住民のための基準です

次に解説する労働安全衛生法に基づく基準は、工場内の作業員のための指標となっています

労働安全衛生法

工場での騒音は周辺地域だけでなく、工場の従業員にも影響を与えます

騒音の影響としては直接的な影響と間接的な影響があります

直接的影響

① 心理的妨害:聴覚系だけの心理的な妨害
➁ 聴取妨害 :音声聴取の妨害
③ 聴力低下 :職業性難聴

間接的影響

① 情緒的妨害:不快感など総合的な心理的な妨害
➁ 生活妨害 :睡眠妨害、集中力の低下など生活に支障を与える妨害
③ 身体的影響:頭痛、耳鳴りなどの身体症状

工場内、特に騒音を発する施設に従事する労働者の方には普段の生活にも支障を与える危険があります

そのため、騒音障害を防止のための基準値として「騒音防止のためのガイドライン」があります

「騒音防止のためのガイドライン」は労働安全衛生法に基づいており、以下の表にまとめました
※出典:厚生労働省HP 「騒音障害防止のためのガイドライン」解説パンフレット

まず、それぞれの管理区分で騒音対策は異なります

管理区分Ⅰ:作業環境の継続的維持に努めること(特に現状での対応はなし)
管理区分Ⅱ:標識による場所の明示、騒音対策の実施、保護具の使用
管理区分Ⅲ:標識による場所の明示、保護具使用の掲示、騒音対策の実施、保護具の使用

次にA測定、B測定については下図で説明します   

なお、A測定では測定した騒音レベルを算術平均として算出します

仕様書等で「機側1mで85dB以下(80dBとするところもある)」を要求するケースが多いと思います

数字の根拠は労働安全衛生法に基づいているのです

プラントでは出力の大きい空気圧縮機や送風機を用いる場合、管理区分Ⅰにならないことがあります

耳栓等の保護具は最終手段です

まずは騒音対策が必要ですので、次から騒音対策について解説します

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騒音対策

騒音の原因は空気の圧力変化であるため、音波の減衰、伝播に関する性質を考慮する必要があります

したがって、騒音対策は遮音、吸音、防振、制振の4つが基本となっています

下の表に騒音防止技術の概要を示しました
※出典:厚生労働省HP 騒音障害防止のためのガイドラインの解説

騒音対策の進め方については以下のように進めます

騒音対策の手順

① 調査・診断:騒音の発生原因および発生源の特定
➁ 測定:騒音レベル、音の性質(音の周波数)を確認
③ 評価:測定した結果をもとに目標値を設定
④ 対策案の策定:実施可能な対策案を検討
⑤ 防止装置の設計・製作:消音器などの設計、製作
⑥ 対策実施:製作した防止装置の設置
➆ 検証:騒音対策の効果の測定

吸音材による減音、防音カバー・ラギング(グラスウール等被覆)がよく取られている対策です

吸音材についてはソノライズ株式会社HPの詳しく書かれているので、参考になります

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まとめ

壁から顔を出している眼鏡をかけた男性の高齢者

騒音は振動とならび年々苦情件数が増えている公害ですが、騒音について知っている人は少ないです

そのため、本ブログを通じて騒音に関する知識習得に役立てたなら幸いです

最後に本記事について以下にまとめます

まとめ

① そもそも騒音とは
⇒人の感覚量であり、定義は曖昧。周波数重み付け特性Aで測定した騒音レベルで表される
➁ 騒音レベルの求め方
⇒騒音計により測定する。騒音レベルの合成は単純な足し算・引き算ではできない
③ 騒音の規制値
⇒騒音規制法では工場に対する規制値、労働安全衛生法は工場に対する規制値
④ 騒音対策の考え方
⇒遮音、吸音、防振、制振を組み合わせて実施。騒音のみであれば遮音、吸音が多い

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