【タンク類の強度】負圧になることを想定していますか?

使えるスキル

工場には必ずと言っていいほど、大きなタンクやサイロがあります

一見、大きくて頑丈であるタンクやサイロですが、外からの力(外圧)にはめっぽう弱いんです

常圧でしか使わないタンクも運転条件次第で簡単に負圧になってしまいます

プラントに従事する中で、幾度か潰れたタンクを見たことがありますが、原因はタンク内が負圧になり、外圧がかかってしまったことが原因でした

この記事では、 Prosess Safty Beaconの事例で是非知っときたいことをお伝えします
※出典:米国化学工学会の化学プロセス安全センター【Process Safety Beacon

この記事で分かること

① 負圧条件がこわい理由
➁ 事故を防ぐために現場従事者ができること
③ 「他社の安全の取り組みの調べ方」についてわかる

身近な事故なので、覚えておくことをお奨めします

容器の弱点は外からの圧力(外圧)

タンクなど多くの容器類は外側からの力にめっぽう弱いです

大量の液体が入っているから、頑丈では?と思うかもしれません

円筒型のタンクは内側からの力には強いですが、同じ力を外側から加えるとっ簡単に凹みます

空き缶を例に挙げると体感しやすいです

空き缶の上側を取り外して、内側からつついてもビクともしません

しかし、外側から同じ力でつつくと、凹みますよね

工場のタンクも同じで、外側から力が加わると簡単に凹んでしまいます

容器が外圧に弱い理由

結論、タンクは引っ張り力には強いけど、曲げる力には弱いんです

タンクの材料にかかる力は、内側からの内圧と外側からの外圧で異なります

内側からかかる力をかけるとタンクには外側に引っ張られる力が働きます

一方、外側からかかる力をかけるとタンクには、曲げる力が働きます

計算の詳細は、JISB8265「圧力容器」の項をご参照ください

常圧で使用するタンクでは負圧での強度計算は一般的にされません

強度計算をするうえでは、内圧のみが対象となります(コストが莫大になるため)
JIS30K相当の板厚で高真空にも耐えられるレベルです

代わりに負圧にならないよう、ベントなどを設けているケースがほとんどです

①内圧と外圧ではタンクが受ける力が異なる➁材料は曲げる力に弱い、この2つが大事です

タンク内が負圧になるケースについて

常圧で運転しているタンクでも、負圧になってしまうケースはあります

タンクが負圧になるケース

① ベントが塞がっているときに液の抜き出し (詰まり/塞がり)
➁ 大雪や大雨でタンク内の蒸気凝縮による減圧 (天候)
③ バルブ開閉ミスで減圧系と連通になる (操作ミス)

タンク内はこのように簡単に減圧にすることができます

以下では、実は身近に起こってしまうベントが塞がる要因について説明します

ベントが塞がる要因とは

ベントが塞がるなんてと思われるかもしれませが、減圧によるタンク損傷の大半はベント起因です
※主は大気と呼吸できない状況ですが、ここではベントで記載致します

ベントが塞がってしまうケースについて、考えられるものを以下にまとめました

この中でもベントが塞がっていたことが原因で、液抜き時にタンクが損傷するケースは多いです

たとえば

① 結晶化しやすいもの、重合化しやすいものを貯蔵している (プロセス起因)
➁ ゴミがベントにくっついて、大気との呼吸を阻害する (外的要因)
③ ベントから臭いがするので、人が袋とかで覆ってしまう (人的要因)
④ ベントの設計不良で大気と呼吸しない (設計不良)

①のプロセス由来は結構多いですので、流体特性に応じた対応が各社なされています

一方で➁の外部からのごみ、③人的要因も実は多いんです

➁のごみに関して、化学プラントで従事していた際の経験を少し書かせて頂きます

通常、微圧で管理されているはずのタンク圧力がいつもよち低く、タンクに原因調査に向かいました

そこでベントにハチの巣ができており、違う意味でこわい経験をしたことがあります

スズメバチの巣もありますし、時には鳥の巣を発見したこともございました

有機溶剤の貯蔵タンクのベントは、虫や鳥などにとっては居心地がいいんです

タンク圧力が低いなと思った際は、ベント部の確認を行ってみてください

おじさん
おじさん

私が従事した工場ではベントが結晶物で閉塞するといったことがありました

タンク圧力の挙動がいつもと違うというときは要注意です

タンクの負圧対策

プロセスの特性など、原因次第で対策は異なります

対策については、基本的には各社の設計基準にあると思いますので、一度ご覧ください

しかし、ベントの塞がりや、人的要因についてまでの記載はないので、考える癖を身につけましょう

日々の点検にて以下の内容はまず確認するようにしましょう

① 容器周辺のバルブ開閉状態に異常はないか
➁ ベントの閉塞等により、大気との呼吸を阻害していないか
③ 運転操作上の問題はなかったか

特にバルブの切替が多いプラントでは、バルブ操作ミスが原因で負圧することが、過去ありました

バルブ操作は基本ですが、実はバルブ操作ミスによるトラブルは経験上多いです

交代勤務ではバルブ操作が引継ぎがされておらず、そのまま運転してしまうケースもあります

基本的なことですが、細心の注意をはらってください

おじさん
おじさん

運転開始・停止、洗浄時など非定常の作業時にバルブ操作ミスは発生しやすいです

今どのような状態になっているか記録しておき、現場確認も必要です

負圧はあなたが思う以上に手強い

大きなタンクも内圧には強いですが、外圧にはめっぽう弱いです

そもそも内圧と外圧ではタンクにかかる力の種類が異なります

外圧で受ける力は材料にとっては弱点をつかれるようなものです

そんなことは分かっている方は多いと思いますが、それでも減圧によるトラブルは多いです

自身の工場でも同じようなトラブルはないか、一度確認してみてはいかがでしょうか?

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