【知ってたら得】自然流下配管のサイズの決め方

自然流下配管のサイズの決め方 使えるスキル

化学プラントでのよくあるトラブルでぺーパーロックと呼ばれるトラブルがあります

べーパーロックとは、液体に含まれるガスが気泡となり、配管の移動を邪魔することです
※ガスロックやエアロックと同義ですが、べーパーロックで統一します

べーパーロックは、特に垂直に立った配管内で発生しやすいです

蒸気ドラムの降水管やコンデンサー、蒸発器のドレンラインが該当します

本記事では、フルード数(Fr数)と呼ばれる関数を用いた自然流下配管のサイジングを紹介します

この記事をみてわかること

① Fr数を用いた自然流下ラインの配管サイズの考え方について分かります
➁ プラント内の自然流下ラインの配管サイズは適正か確認できます
③ Fr数を用いることで、配管サイズの判断基準を定量的に設けることができます

フルード数(Fr数)とは

Fr数とは流体に作用する慣性力と重力の比を表した無次元数で、以下の式で表されます

\(Fr = u /\sqrt{ g D }\)

\(Fr\):フルード数【\(mm\)】
\(u\):配管内流速【\(m/s\)】
\(g\):重力加速度【\(m/s^2\)】
\(D\):配管内径【\(mm\)】

Fr数は主に水の流れ方を示すのによく使われている無次元数です

水理学の分野では\(Fr<1\)を常流、\(Fr>1\)を射流と呼びます

簡単に言うと、流速が波の速さよりも遅い状態が常流、速い状態が射流です

Fr数が大きいほど流速が速く、ガスを巻き込みやすいイメージですね

一般的な自然流下配管の配管サイジング

自然流下配管では標準流速で求められる配管サイズよりも1~2サイズアップが推奨されています
※標準流速一般的には1~2m/sです

経験則であり、熟練者の経験に基づいたノウハウのため非常に重宝されています

配管径を大きくすることでガスを巻き込む可能性は減ります

しかし、材料費、工事費が高くつき、コストが跳ね上がってしまいます

現実的にはどのくらいの配管サイズがいいのか、定量的に説明したいところです

Fr数では常流と射流のように自然流下配管でも数値で流れを分けることができます

Fr数による指標

Fr数を用いた流れの分類について記載します(出典:Perry’s Chemical Handbook 8th Edition)

出典先の「Perry’s Chemical Handbook」はプラントエンジニアとして一見の価値ありです

① 終端が開放系の場合
\(Fr<2\) : Falling Filmの流れ
\(Fr≧2\) : 管内満液の流れ

➁ 終端が液シールされている場合
\(Fr<0.31\) : 気泡分離流れ
\(Fr≧0.31\) : 気泡同伴の脈動流れ
\(Fr≒1\)   : 臨海流 ※脈動流れの程度が激しくなる(常流と射流の境目です)

終端が液シールされている系が多く、\(Fr<0.31\)となる配管サイジングが一般的です

他の配管サイジングとの比較

自然流下配管のサイジングのアプローチとしては、①標準流速、➁降水管の配管流量線図があります
※降水管の配管流量線図の出典先については忘れてしまいました(申し訳ございません)

下の図は\(Fr=0.31\)となる配管サイズと降水管の配管流量線図、標準流速(1~2m/s)での配管径について比較した結果です
※SGP配管で配管径を算出しております

Fr数から求められる自然流下配管の配管サイズは、他のアプローチと比べて大きい結果となります

降水管のグラフは概ね\(Fr≒1\)で算出した値に近く、標準流速からのアプローチに1~2サイズアップした経験則に近い値になります

私は標準流速の1サイズアップの自然流下配管でべーパーロックを経験しました

2サイズアップもしくは安全を見て\(Fr=0.31\)での設計が有効と考えます

まとめ ~Fr数による配管サイズの考え方~

Fr数を用いた配管サイズへのアプローチについてまとめました

自然流下配管の配管サイズのアプローチとして、Fr数を指標とする企業もあります

Fr数を0.31とした場合の配管径は、標準流速で求められる配管よりも3サイズほど上がります

降水管の配管流量線図で得られる配管サイズでトラブル実績がない場合、過大サイズになります

配管流量線図は大気圧での運転ですので、気泡が発生しやすい減圧系には適していません

減圧系の配管サイズを決める際は、Fr数は20%低めに基準を設けた方がよいとの報告もあります

Fr数の基準をどう設定するかは液の性状、運転温度・圧力条件も影響します

自社での実績と照らし合わせて、自分が扱う流体に沿った基準を設けて頂くことをお奨めします

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